【2026】ベトナム海外生産のメリット・デメリット完全ガイド|製造業の成功と失敗を分ける経理・人事の実務ポイント
- k.nuisach

- 5月11日
- 読了時間: 38分
更新日:5月12日

難易度:★★★★☆
「ベトナムは人件費が安いから、海外生産拠点として最適だ」――そう考えて進出したものの、想定外のコスト増加や管理の難しさに直面していませんか?あるいは、これからベトナムでの海外生産を検討しているものの、「本当にメリットがあるのか」「どんなリスクがあるのか」と不安を感じていませんか?
本記事では、ベトナムでの海外生産における真のメリットとデメリット、そして製造業特有のコスト構造、サプライチェーン構築の課題、現地調達のポイントまで、現場で培った実務ノウハウを基に徹底解説します。ベトナムで10年以上、数多くの日系製造業の黒字化を支援してきたVIET NHATの専門家が、表面的な情報では見えてこない、経理・人事の視点から見た「本当のベトナム海外生産」をお伝えします。
これから、ベトナム海外生産のメリット・デメリット、実際のコスト構造、失敗事例から学ぶリスク対策、そして成功するための実務ポイントまで、段階を追って解説していきます。
この記事でわかること
ベトナムの人件費は安いと聞くが、実際にかかる「本当のコスト」を把握した上で進出を判断したい方
海外生産拠点の立ち上げで、経理・人事の管理体制として何を準備すべきか整理したい方
進出後に「想定外」でつまずかないために、失敗企業の共通点とリスク対策を事前に知っておきたい方
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【目次】
なぜ今、ベトナムが海外生産拠点として注目されるのか?

ベトナムは、ASEAN諸国の中でも特に製造業の海外生産拠点として急速に存在感が高まっています。その背景には、米中貿易摩擦に端を発した「チャイナプラスワン」戦略、人口約1億人という巨大な労働力市場、そして政府による外資誘致政策があります。しかし、多くの企業がベトナム進出を検討する一方で、実際に黒字化を達成できている企業はどれほどあるのでしょうか。
本セクションでは、ベトナムが海外生産拠点として選ばれる理由と、その裏に潜む現実について、データと現場経験をもとに解説します。
チャイナプラスワンとしてのベトナムの位置づけ
2018年以降、米中貿易摩擦の激化により、中国一極集中のサプライチェーンリスクが顕在化しました。多くの製造業が生産拠点の分散を図る中で、ベトナムは地理的優位性、政治的安定性、そして比較的整備された工業団地インフラから、最有力候補として浮上しました。
実際に、2020年から2024年にかけて、電子部品、自動車部品、アパレル、精密機器などの分野で、中国からベトナムへの生産移管が加速しています。特にサムスン電子がベトナムに大規模な生産拠点を構えたことで、関連するサプライヤー企業も続々とベトナムに進出しました。
製造業に適した労働力市場の特徴
ベトナムの人口は約9,946万人(2022年時点)で、平均年齢は28歳と非常に若い人口構成となっています。労働人口の多さに加えて、ベトナム人労働者の特徴として以下の点が挙げられます。
ベトナム人労働者の強み:
親日感情が強く、日本企業での就労を希望する人材が多い
若年層のITリテラシーが高く、デジタル化への適応力がある
儒教文化の影響で、上司の指示に従順で真面目に働く傾向がある
手先が器用で、繊維産業や精密機器の組み立てに適している
しかし、10年の現場経験から言えるのは、これらの強みは「適切な管理体制」があって初めて発揮されるということです。多くの企業が陥りがちなのが、「ベトナム人は真面目だから任せておけば大丈夫」という思い込みです。実際には、明確な業務指示、適切な評価制度、そして継続的な教育がなければ、離職率の高さや品質問題に直面することになります。
ベトナム海外生産の6つのメリット

ベトナムでの海外生産には、確かに大きなメリットが存在します。しかし、それらのメリットを最大限に活かすためには、「どのような条件下で」「どのように管理すれば」メリットが発揮されるのかを理解することが重要です。
本セクションでは、製造業の視点から見た6つの主要なメリットを、実務的な注意点とともに解説します。
メリット1 人手の確保
また日本人にとって、宗教的側面や親日国というのも、人手を求める際にプラスに働く要素かと思います。
専門家からのアドバイス
働き手が多いという部分を魅力的に感じ、日本以外の国も進出してきており、職場環境などもよく比較される先として、韓国企業、台湾企業、中国企業などもあります。
労働集約型の産業であれば、都市部よりも人件費のさらに安い地方に進出されるケースもあります。
地方に進出する際には、都心部と比べて会社のコアとなるリーダー人材やマネージャー人材の確保が難しくなる点にも注意が必要です。
メリット2 急速発展中のベトナム市場
多くの国が目をつけ、競争が激しい一方で、現地進出済みの日系企業以外からの引き合いや受注という可能性も十分あります。
日本においては既に業界ポジションも決まっている中での事業展開ですが、ベトナムにおいてはまだまだ業界図ができていないということも多々あり、ローカル価格でありながら高品質なものがより求められます。
専門家からのアドバイス
まずは短期、中期的な海外進出のメリットを享受しつつ、ベトナム進出を東南アジア進出の1歩目とするような展開も十分考えられるのがベトナム進出です。
まずは足元5年を頑張り、黒字化を目指し、そのあとにふと舞い込んでくる思わぬビジネスチャンスを掴むのが成功の鍵です。
メリット3 人件費の優位性(ただし「隠れコスト」に要注意)
ベトナムの最大のメリットとして語られるのが、人件費の安さです。2026年時点での地域別最低賃金は以下の通りです。2026年1月1日から最低賃金が改定されました。
ベトナムの地域別最低賃金(2026年):
地域 | 地域例 | 最低賃金 | 日本円換算(目安) |
第1地域 | ハノイ市、ハイフォン市、ホーチミン市など | 5,310,000 VND | 32,200 円 |
第2地域 | バクニン省、ダナン市、ドンナイ省など | 4,730,000 VND | 28,700 円 |
第3地域 | フンイエン省、ゲアン省、カントー市など | 4,140,000 VND | 25,100 円 |
第4地域 | 地域1~3以外 | 3,700,000 VND | 22,400 円 |
(1円=165VND前後) |
*政令74号(74/2024/ND-CP)および政令293号(293/2025/ND-CP)
2026年1月1日から
日本の最低賃金(全国平均で時給約1,000円、月額約17万円)と比較すると、確かに6分の1程度の水準です。しかし、10年の経験から言えるのは、「最低賃金だけを見て判断するのは危険」ということです。
人件費に関する「隠れコスト」
管理者(日本人駐在員)の人件費および管理者に係る費用
┗(賃料および水道光熱費、健康保険代、車両費、一時帰国費用)
社会保険料(企業負担約22%)
年次昇給(平均5〜10%)
賞与(テト賞与は最低でも1ヶ月分)
退職手当(勤続年数×平均月給の1/2)
高い離職率による採用・教育コストの繰り返し
外国人労働者(現地採用等)の退職手当(勤続年数×平均月給の1/2)
これらを合算すると、実質的な人件費は表面上の最低賃金の1.5〜2倍になることも珍しくありません。
専門家からのアドバイス: 人件費のメリットを享受するためには、「採用した人材を長く定着させる仕組み」が不可欠です。評価制度の明確化、キャリアパスの提示、適切な昇給設計など、人事制度の整備に初期段階から投資することが、長期的なコスト削減に繋がります。
メリット4 工業団地インフラの整備と立地の良さ
ベトナムには、全国に300以上の工業団地が存在し、特に南部(ホーチミン周辺)と北部(ハノイ周辺)には、日系企業向けに整備された工業団地が多数あります。
工業団地のメリット
電力、水道、排水処理などのインフラが整備済み
ライセンス取得に係るワンストップサービス(許認可手続きの支援)
日系企業が集積しており、情報交換がしやすい
セキュリティが確保されている
レンタル工場の選択肢もあり、初期投資を抑えられる
また、ベトナムは海岸線が長く、主要港湾(ハイフォン港、カイメップ・チーバイ港、カットライ港など)へのアクセスが良いため、輸出加工型の製造業に適しています。海上輸送での他の東南アジア、ヨーロッパなどへの輸出も検討することができます。
よくある失敗事例
「工業団地に入れば安心」と考え、立地選定を安易に行うケースがあります。しかし、工業団地によって、ローカル系/外資系で分かれ、さらにそれぞれで電力の安定性、排水処理能力、労働力の確保しやすさ、港湾へのアクセスなどに大きな差があります。進出前の現地視察と、既に進出している企業へのヒアリングが不可欠です。
メリット5 現地調達によるコスト最適化
ベトナムには、繊維、電子部品、プラスチック成形、金属加工など、多様な製造業が集積しており、その歴史も長いです。現地調達に成功し、ローカル価格で高品質のサプライヤーを見つけ出すことができた際は、コストを最適化できる可能性があります。
現地調達のメリット
現地で部材を調達することで、輸送コストと納期を短縮
為替リスクの一部を回避(現地通貨での取引)
良い現地調達先(特に外注先)を見つけることで、受注の幅を広げられる
特に、日本と同じ品質基準を求める場合、現地サプライヤーの見極めや良い関係を築くこと、必要に応じて継続的な教育や支援が必要になります。
専門家からのアドバイス
製造のみならずサービス業においても同様で、良い現地サプライヤーを見つけ出すことは非常に難しいです。ベトナムの右も左もわからないうちからコスト削減に意識を向けてしまい大失敗するケースが多々あります。まずは意思疎通も商習慣もよくわかっている日系企業サプライヤーを利用し、現地に慣れてきたところで、ローカルに切り替えていくことをおすすめします。
メリット6 サプライチェーンの多様化とリスク分散
中国一極集中のリスクを回避し、サプライチェーンを多様化できることは、ベトナム進出の大きな戦略的メリットです。特に、米中貿易摩擦や地政学リスクが高まる中で、複数の生産拠点を持つことは企業のBCP(事業継続計画)において重要な意味を持ちます。
サプライチェーン多様化のメリット
特定国への依存度を下げ、政治的リスクを分散
関税リスクの回避(米国向け輸出の場合、中国製品への追加関税を回避)
顧客からの要求(サプライヤーの地理的分散)への対応
為替リスクの分散
ただし、サプライチェーンの多様化には、複数拠点の管理コスト、品質の均一化、物流コストの増加といった課題も伴います。
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ベトナム海外生産の6つのデメリットとリスク

メリットがある一方で、ベトナムでの海外生産には看過できないデメリットとリスクも存在します。多くの企業が陥りがちなのが、「メリットだけを見て進出し、デメリットへの対策を怠る」ことです。
本セクションでは、現場で実際に直面する6つの主要なデメリットと、その対策の方向性を解説します。
デメリット1:不正リスクと内部統制の難しさ
ベトナムでは、経理・調達部門における不正リスクが日本よりも高いという現実があります。これは、給与水準の低さ、内部統制の未整備、そして伝統的手数料という文化的背景が影響しています。
よくある不正のパターン
架空の仕入先を作り、キックバックを受け取る
発注数量を水増しし、差額を着服する
退職済み従業員への給与支払いを継続し、着服する
経費精算での水増し請求
在庫の横流し
不正が発生しやすい環境
一人の担当者に権限が集中している
チェック体制がない(承認プロセスの形骸化)
現地管理者が経理・人事の業務内容を理解していない
日本本社への報告が不十分で、異常値に気づかない
専門家からのアドバイス
不正を見逃さないようにするためには、属人化させない誰にでもわかる仕組みづくりが必要です。具体的には、職務分掌の明確化、承認プロセスの厳格化、定期的な内部監査、そして現地管理者による経理・人事業務の理解と監視が重要です。VIET NHAT(ベトニャット)では、不正リスクの診断と、内部統制の構築支援を提供しています。
デメリット2 マネージャーやリーダーの中核人材を育てる難しさ
組織が大きくなるにはマネージャーやリーダーの存在が不可欠です。
急速な会社の従業員増員の際には、それに応じてリーダーの存在も必要になってきますので、増員に合わせてリーダーやマネージャーを選出する必要があります。
育てることの難しさ
辞めるかもしれないことを前提に考えた際に、教育を施しにくくなる
教育部門の設置や教育担当の人材や日本からの教育担当者の派遣が難しい
指標づくりからはじめる必要がある
┗本社でリーダーやマネージャーの評価基準があったとしても、ベトナム版に調整する必要がある)
現地管理者(日本人)が教育を行うとしても時間がない
専門家からのアドバイス
会社がリーダー、マネージャーに求めていることを文書化
人事部において、各担当者、各部署の業務内容の洗い出しと業務の明文化を行う中で、評価作りや査定にも連動してくると思います。
その際に、リーダー、マネージャーの業務づくり、評価制度づくりを行い、リーダーやマネージャーとして会社が求めていることを文書化することが最初のステップです。
必要な人数を予め予想し、候補というかたちで取り組んでみる
会社設立3年後に必要な部門とそのリーダーというのを深くイメージし、どの部門でどれだけのリーダーが必要か逆算することで、ある程度の見通しをつけ、リーダー候補、マネージャー候補というかたちで一旦やってみるのが良いと思います。
社内にリソースが無い場合は外部リソースを使う
現地で研修教育を提供している会社もあります。(https://omotenashi.com.vn/)
本社からの支援が難しい場合などは、現地の研修企業を利用するのも一つの手です。
デメリット3 従業員の高い離職率と人材採用難
ベトナムの製造業における最大の課題の一つが、従業員の高い離職率です。特に、若年層の離職率は年間20〜30%に達することも珍しくありません。
離職率が高い理由
より高い給与を求めて転職する文化が根付いている
企業への帰属意識が日本ほど強くない
昇進・昇給の機会が限定的だと感じると、すぐに転職を検討する
テト(旧正月)前後に大量離職が発生しやすい
通勤距離が遠い場合、近くの工場に転職する
離職率の高さがもたらす影響
採用コストが繰り返し発生
採用の繰り返しによる教育・訓練コストの増加
提供するサービスや製品の品質が不安定化
ノウハウの流出
管理者の疲弊
専門家からのアドバイス:
離職率を下げるためには、給与だけでなく、「働きやすい環境」「成長の機会」「公平な評価」を提供することが重要です。例えば、明確な昇給基準の設定、スキルアップ研修の実施、優秀な従業員の表彰制度などが効果的です。また、採用時に「通勤距離」を重視することも、定着率向上に繋がります。
中堅、大企業のように大きな昇給や賞与を設定できない場合は、会社理念に基づき独自の魅力的な会社づくり、例えば「働く女性に優しい会社」「従業員の家族も大事にする会社」を目指すのも一つの手ではないでしょうか。
デメリット4 インフラの不安定性と物流コスト
ベトナムのインフラは急速に整備されていますが、日本と比較すると、まだ不安定な部分が多く残っています。
インフラの課題
停電が時折発生する(特に夏季の電力不足時)
道路の渋滞が慢性化(ホーチミン市内など)
港湾の混雑による輸出入の遅延
インターネット回線の不安定さ
排水処理能力の限界
物流コストの問題
日本からの部材輸入にかかる輸送コストと納期
ベトナム国内の物流コスト(道路インフラの未整備により、意外と高い)
港湾での通関手続きの煩雑さと遅延
コンテナ不足による輸出スケジュールの遅れ
これらのインフラ問題は、生産計画の遅延、コスト増加、そして顧客への納期遅れといった形で、直接的にビジネスに影響を与えます。
デメリット5 法令・税制の頻繁な変更と不透明性
ベトナムでビジネスを行う上で、多くの日本企業が頭を悩ませるのが、法令や税制の頻繁な変更と、その運用の不透明性です。
法令・税制の課題
法令が頻繁に改正され、追いつくのが大変
通達が突然発表され、遡及適用されることがある
法令の解釈が税務署の担当者によって異なる
管轄行政によって見解が異なる(税関と税務署等)
よくある失敗事例
「現地スタッフに任せておけば大丈夫」と考え、税務や労務の法令遵守を現地スタッフ任せにするケースがあります。しかし、現地スタッフが最新の法令を正しく理解し社内運用しているとは限らず、結果として税務調査で多額の追徴課税/罰金を受けることがあります。
専門家からのアドバイス
法令・税制の変更に対応するためには、信頼できる会計事務所や法律事務所との連携、そして現地スタッフ自らが変更情報に対応していくことが必須となるでしょう。また、日本本社の経理・人事部門と現地法人が密に連携し、コンプライアンス体制を構築することも重要です。
デメリット6 日本人感覚を求める難しさ
例えば、品質管理の基準やコミュニケーション:日本語での指示がこれにあたります。
日本人の求めている日本と同じ品質基準をベトナムで実現することは、想像以上に困難です。その背景には、文化的な違い、教育の違い、歴史的背景の違い等の要素が複雑に絡み合っているためです。
日本の職場においては日本人しかおらず、同じ文化的、歴史的背景を持ち、同じレベルの教育を受けてきた人達の間での感覚的かつ暗黙的な認知が存在しますが、ベトナムにおいては、正しく伝える手段を見出し、言語化する必要があります。
日本人間でのコミュニケーションをそのままベトナムに持ちこもうとする際には壁を感じると思います。
品質管理における課題の根本原因
No. | 課題 | 根本原因 |
1. | 「だいたい合っていればOK」という文化に捉えられてしまうことがある。 | 日本企業や日本人の求める「完璧」を知らない |
2. | 不良品が出ても、「次は気をつけます」で終わり、同じミスを繰り返すと思われがちである。 | 不良に対する相手の理解できる説明を正しく行っておらず、相手が不良を理解していない。 |
3. | 5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の概念が浸透しにくいと思われがちである。 | 5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の何がポイントなのか、どうしてこれをやった方が良いのかを、きちんと説明できていない。 |
4. | 報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の習慣がないと思われてしまう。 | 実は日本人管理者からの指示や連絡が曖昧で従業員が正しく理解できていない。 |
コミュニケーションの壁
No. | 課題 | 根本原因 |
1. | 言語の問題により伝わっていないと思い込んでしまう | 単なる言語によるコミュニケーションの問題なのか、通訳者/翻訳のレベルによる問題か、正しい見極めが必要 |
2. | 相手が正しく理解できたかを確認せずに、「こちら側は説明した。相手が理解していない」と一方的な判断になっていることがある | 「わかりました!」と言っても、理解していない場合があることを想定していない |
3. | 日本人管理者の「察してほしい」は通用しない | 日本人同士の会話でも判断に困るような会話を平然とベトナム人を交えた場で行い、察する文化を無意識に使ってしまっていることがある |
専門家からのアドバイス
日本人管理者が確実な結果を得たい場合は、どこまでもしっかりした指示や確認を行うことが鉄則です。例えば、口頭説明した内容は後程メールでも同様の内容を書いたものを送る、さらにそのメールの中でわからない部分は質問をメールで送るように指示を出す等です。
曖昧な指示出しの結果意図した結果が得られず、ストレスを感じる現地管理者、さらに困りながらも結果を出してきた現地スタッフ。現地スタッフは困っている上にさらに怒られるという災難に遭います。
まずはしっかりした指示出しと確認を習慣づけることから始め、少しずつ信頼関係を築いていきましょう。
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【経理視点】ベトナム海外生産の見落としがちなコストの正体

「ベトナムは人件費が安いから、コスト削減できる」――この認識は、必ずしも正しくありません。ベトナムでの海外生産には、表面的な人件費以外にも、様々なコストが発生します。本セクションでは、経理の専門家視点から、ベトナム海外生産の「コスト構造」を分解し、どこにコストがかかるのかを明らかにします。
人件費の内訳と「隠れコスト」
前述の通り、ベトナムの人件費は最低賃金だけを見れば確かに安いですが、実際には以下のようなコストが発生します。
人件費関連の詳細内訳
項目 | 内容 | 企業負担率/金額 |
基本給 | 最低賃金以上 | 100% |
社会保険料 | 社会保険、健康保険、失業保険 | 約22% |
残業手当 | 平日150%、休日200%、祝日300% | 変動 |
テト賞与 | 旧正月の賞与(最低1ヶ月分) | 1ヶ月分 |
年次昇給 | 平均5〜10% | 5〜10% |
退職手当 | 勤続年数×平均月給の1/2 | 積立必要 |
通勤手当 | 企業による | 任意(ただし多くの企業で支給) |
食事手当 | 企業による | 任意(ただし多くの企業で支給) |
これらを合算すると、基本給の1.5〜2倍のコストが発生することになります。
さらに、以下の「見えにくいコスト」も考慮する必要があります。
人件費に関連する隠れコスト
採用コスト(求人広告、人材紹介会社への手数料)
教育・訓練コスト(OJT、外部研修)
日本人駐在員の人件費(給与、住居手当、現地での健康保険代、帰国旅費、駐在員の個人所得税(会社負担の場合)など)
工場運営コストの実態
工場を運営する上で、人件費以外にも以下のようなコストが発生します。
工場運営の主要コスト
コスト項目 | 内容 | 注意点 |
土地使用料・賃料 | 工業団地内の土地使用料、またはレンタル工場賃料 | レンタル工場の場合、3ヶ月〜1年分のデポジットが必要 |
電気代 | 時間帯により単価が変動 | 停電対策の自家発電設備が必要な場合も |
水道代 | 工業用水の料金 | 排水処理費用も別途必要 |
通信費 | インターネット、電話 | 回線の安定性に課題 |
セキュリティ費用 | 警備員の配置 | 24時間体制が一般的 |
廃棄物処理費用 | 産業廃棄物の処理 | 環境規制が厳格化 |
設備メンテナンス | 機械設備の保守 | 部品調達に時間がかかる |
保険代 | 火災保険 | 機械、在庫に対しての保険 |
物流・輸送コストの詳細
ベトナムでの海外生産では、物流コストが想定以上に高くなるケースが多く見られます。日本では物流コストは内容も把握しやすく、管理もしやすいですが、海外生産の場合、単純な輸送費に加えてハンドリングチャージや港での待機料等馴染みの無い費用がバラバラと発生し、管理が煩雑になる傾向があります。
物流コストの内訳
日本からの部材輸入(海上輸送費、航空輸送費、通関費用、輸入関税)
ベトナム国内輸送(港湾から工場までのトラック輸送)
完成品の輸出(工場から港湾、海上輸送、通関費用)
輸送保険料
在庫保管費用
金額を抑えようと安い業者探しをされる際には、すべての費用を見積時にしっかり提示してきているかを確認する必要があります。一見、輸送費が他社と比較して安いように見えても、後々の請求で合計すると比較対象と比べて割高だったということもよくあります。
管理コストと間接費
見落とされがちなのが、管理コストと間接費です。
主な管理コスト
会計・税務・法律顧問費用(月額5万円〜20万円)
マーケティング費用
ソフト利用料(経理、人事、輸出入、税務、税関関連)
その他ソフト(ホームページ、Web会議システム、メールアドレス等)
ライセンス・許認可の更新費用
これらのコストを合算すると、年間で数百万円に達することもあります。
専門家からのアドバイス
ベトナム進出を検討する際には、「人件費が安い」という表面的な情報だけでなく、総合的なコスト構造を詳細に分析することが不可欠です。
VIET NHAT(ベトニャット)では、進出前の事業計画段階で、実際のコスト構造をシミュレーションし、黒字化へのステップをクリアにするサポートを提供しています。
【失敗事例】ベトナムで失敗した企業の共通点

ベトナム進出は成功事例ばかりではなく、実際には、進出後数年で撤退を余儀なくされる企業も少なくありません。本セクションでは、10年の現場経験の中で見てきた、失敗した企業に共通する3つのパターンを紹介します。これらの失敗事例から学ぶことで、同じ轍を踏まないための教訓を得ることができます。
失敗パターン1 事業計画の甘さ(楽観的すぎる売上予測)
最も多い失敗パターンが、事業計画の甘さです。特に、以下のような楽観的な前提に基づいた計画は、高確率で失敗します。
よくある楽観的な前提
「ベトナム市場は成長しているから、すぐに売れるだろう」
「人件費が安いから、すぐに黒字化できるだろう」
「中国からの生産移管だから、顧客は確保できている」
「日本と同じやり方で進めれば問題ないだろう」
実際に起こること
ベトナム国内市場向けの場合、ブランド認知度がゼロからのスタート
価格競争が激しく、想定した利益率が確保できない
品質が安定せず、顧客からのクレームが多発
初期投資が想定以上にかかり、資金繰りが悪化
実例(匿名化)
ある日系製造業A社は、「ベトナムは人件費が安いから、中国工場の半分のコストで生産できる」という前提で進出しました。しかし、実際には、離職率の高さによる採用・教育コストの繰り返し、品質問題による不良率の高さ、そして日本人駐在員の人件費などにより、想定の1.5倍のコストがかかりました。結果として、進出3年目で撤退を決断しました。
失敗パターン2 現地管理者の不在または知識不足
ベトナム現地法人を成功させるためには、「現地で陣頭指揮を執る日本人管理者」の存在が不可欠です。しかし、以下のようなケースでは、失敗する確率が高まります。
失敗するケース
日本人管理者を配置せず、これまでマネジメント経験の無い現地スタッフに全てを任せる
現地管理者が製造の専門家であり、経理・人事・法務の知識がない
海外が初めての現地管理者が現地語もしくは英語で話すこと/伝えることを努力せず、日本語通訳者に依存しすぎる
実際に起こること
現地スタッフがこれまで得たことも無いような大きな給与を得ることで、散財しさらにお金が欲しくなり不正を行うようになる
管理者が抑えるべきポイントを見逃すので現地スタッフが不正を働いても、気づかない
税務調査で多額の追徴課税を受ける
品質問題が放置され、顧客を失う
日本本社への報告が不正確で、問題が表面化するのが遅れる
専門家からのアドバイス: 異国において「人、もの、お金」の管理は日本以上のものが求められています。その管理責任を負うのが現地管理者です。
現地管理者には、製造の知識だけでなく、大まかな経理・人事・法務の基礎知識も必要です。また、管理者に知識や経験が無い場合は、最低限管理者として抑えるポイントがあります。VIET NHAT(ベトニャット)では、現地管理者向けの経理・人事研修も提供しています。
失敗パターン3 内部統制の欠如
前述の通り、ベトナムでは日本とは別の経済環境にもかかわらず、内部統制やマネジメントする基盤を整備せずに進出する企業が少なくありません。また、現地側で何かがおかしいと気づいていながら、手を打てない/現地管理の問題を相談する先が思いつかないといった事例もあります。
マネジメントを行わないことを続けた結果
数百万円〜数千万円の損失
不正発覚後の社内の士気低下
取引先や顧客からの信頼失墜
属人化した組織が出来上がる
改善意識は芽生えず、非効率な業務/無駄な業務が永続的に続く
実例(匿名化)
ある日系製造業B社では、駐在歴の長い日本人社長から大きな信頼を得ている部門長がおり、その部門長下で親戚が雇用され、昼食関連で架空の仕入債務を作り、見えないところで長年に渡り着服が行われていました。
現地管理者は業務の流れや内容を把握せず、日本本社も財務データしか確認せず、現地管理にメスを入れるようなことをしていなかったため、社内不正が長年に渡り行われ常態化するまでに至っていました。
【成功のカギ】失敗の轍を踏まないための3つの管理原則

前章で見てきた失敗事例には、ある共通の構造があります。「計画が甘かった」「管理者が機能しなかった」「不正が放置された」――これらは、いずれも進出前後の初期段階で手を打てば防げた問題です。
以下の3つの原則は、それぞれの失敗パターンに直接対応しています。進出を検討している段階だからこそ、「対策コスト」ではなく「保険」として捉えてください。
成功のカギ1 事業計画は「楽観シナリオ」で作らない(失敗パターン1「楽観的すぎる事業計画」への対策)
失敗した企業に共通していたのは、「うまくいく前提」でしか計画を作っていなかったことです。「人件費が安いから黒字になるはず」「顧客はいるから売上は確保できる」――こうした前提は、現実の前に脆くも崩れます。
事業計画で徹底すべきことは、一点に尽きます。コストは多めに、売上は控えめに見積もる、これだけです。
具体的には以下を実施してください。
進出前
「標準シナリオ」だけでなく、「悲観シナリオ」での収支試算を必ず行う
人件費は最低賃金ではなく、社会保険料・賞与・昇給・採用コストを含めた「実質人件費」で計算する
日本人駐在員のコスト(給与・住居・帰国費・現地健保など)を事業計画に明示する
撤退にかかるコストと期間を、進出前の時点で試算しておく
進出後
現地と本社でも理解しやすい資金繰り表(実績と将来分含む)をつくる
月次で予算と実績を比較し、乖離が出た時点で即座に原因を特定する
四半期ごとに事業計画を現実に合わせて修正する(「計画は変えてはいけない」という感覚は捨てる)
日本本社への報告は、良い数字も悪い数字も、そのまま上げる体制を最初から作る
事業計画の精度は、進出後の意思決定の速さに直結します。「想定外」を減らすことが、最初の一年を乗り越える最大の武器です。
成功のカギ2 現地管理者に「全部任せる」は失敗の入口(失敗パターン2「現地管理者の不在・知識不足」への対策)
「現地のことは現地の人間に任せればいい」――この考え方が、最も多くの問題を生んでいます。
製造の専門家であっても、経理・人事・法務の知識がなければ、不正を見抜けず、法令違反に気づけず、本社への報告も不正確になります。そして最大の問題は、「何かがおかしい」と薄々感じながらも、誰に相談すればよいかわからず、放置してしまうことです。
現地管理者に必要なのは、経理・人事のプロになることではありません。「抑えるべきポイント」を知っていること、それだけで防げる問題が大幅に減ります。
現地管理者として最低限押さえるべきこと
毎月、現金・預金の残高を現地管理者の目で確認させる仕組みをつくる
支払い承認は、必ず現地管理者を経由させる(金額に関わらず)
「現地スタッフが作った数字」をそのまま日本本社に上げない。自分なりに確認してから報告する
法令・税制の変更情報は、会計事務所から直接自分が受け取る体制にする
「わからないこと」を「わからない」と言える相談相手を、社外に持つ
日本本社として整えるべきこと
現地管理者を「孤立」させない。定期的な本社担当者との対話の場を設ける
現地から上がってくる数字に、定期的に「疑問を持つ目」を持ち込む
現地管理者が経理・人事に不慣れな場合、外部の専門家を「伴走者」として早期に配置する
現地管理者の孤立は、問題の先送りを生みます。「任せている」と「丸投げしている」は、似て非なるものです。
成功のカギ3 「性善説」の管理体制は、ベトナムでは機能しない(失敗パターン3「内部統制の欠如」への対策)
日本国内では、「従業員を信頼する」ことと「管理する」ことが、時に矛盾するように感じられるかもしれません。しかし、ベトナムでは発想を切り替える必要があります。「信頼すること」と「仕組みで管理すること」は、別の話です。
B社の事例で見たように、不正は「悪い人間がいる」から起きるのではなく、「不正が起きやすい環境が放置されている」から起きます。誰でも不正を起こしやすい状況に長くいれば、誘惑に負けます。管理の仕組みは、従業員を疑うためではなく、従業員を守るためにある、という視点で構築してください。
最低限構築すべき内部統制
仕入・発注・支払いの三工程は、必ず別の担当者が行う(一人に集中させない)
銀行振込の最終確認は、日本人管理者が行う
現金決済を極力0にするように努力する
給与台帳と実在従業員を、定期的に照合する(退職者への振込が続いていないか)
月次での在庫の棚卸と、帳簿との照合を習慣化する
「何かがおかしい」サインを見逃さないために
経費や仕入金額が、毎月ほぼ同じ金額で計上されていないか
特定の取引先への支払いが、突出して多くなっていないか
特定のスタッフだけが全ての経理業務を抱えていないか
これらは、日本本社が財務データを見るだけでは気づきにくいポイントです。現地管理者が「業務の流れや中身」を理解していて初めて、異常値に気づくことができます。
専門家からのアドバイス
VIET NHAT(ベトニャット)では、現地管理者が「経理・人事の何を見ればよいか」を理解するための実務研修と、現状の内部統制の診断サービスを提供しています。「うちは大丈夫」と思っているうちに手を打つことが、最大のリスク対策です。
進出フェーズ別:押さえるべき実務チェックリスト

ベトナムでの海外生産を成功させるためには、進出フェーズごとに押さえるべきポイントが異なります。本セクションでは、進出前、進出直後、進出1〜2年、進出2〜3年の各フェーズで、何をすべきかを具体的なチェックリスト形式で提示します。
進出前フェーズ(計画・準備段階)
□ 市場調査とフィージビリティスタディの実施
ベトナム市場の規模と成長性の調査
競合他社の分析
事業計画の作成(保守的な前提で)
撤退シナリオとコストの試算
まずは、日本での業界慣行や成功体験がベトナムでも通用するとは限らないという前提に立つことが重要です。
日本市場で培ってきた業界の常識や「当たり前」とされてきたことが、ベトナムではどうなのか。その違いを一つひとつ検証し、認識することが事業計画の精度を左右する最大のポイントです。仮説を立て、現地の実態と突き合わせながら検証していくことが、事業の方向性を定める土台になります。
この検証を怠ると、「長年日本ではこうやってきたから」「日本の技術力は高いから」という一方的な思い込みに基づいた計画になり、進出初期から大きなつまずきの原因になります。
□ 現地視察と情報収集
工業団地の視察
既進出企業へのヒアリング
サプライヤー候補の工場監査
会計事務所・法律事務所との面談
工業団地やレンタル工場、事務所などの選定にあたっては、現地赴任予定者も調査に同行し、最終的な意思決定にも参加してもらうことをお薦めします。
その理由は、人が集まらない、空港や市内からのアクセスが悪いなど、何かしらの問題が発生した際に、「ここを決めたのは自分ではない」という意識が生まれやすくなるためです。
そのような状況になると、現地で最善を尽くすべき場面であっても、会社や決定者への不満が先に立ち、前向きな取り組みの妨げになってしまいます。
□ 会社設立の準備
投資ライセンスの申請
会社登記
銀行口座の開設
税務登録
日本での書類準備を含め、全体のスケジュールには十分な余裕を持つことが大切です。目安として、当初の想定より1ヶ月程度は遅れる可能性があるものとして、その余白を織り込んだスケジュールを組んでおくとよいでしょう。
書類の不備による差し戻し、日本側で準備した資料の不足、企業登録証明書の代表者名に誤字があり再発行が必要になるなど、トラブルはつきものです。日本と同じスケジュール感では進まないことを、あらかじめ想定しておきましょう。
VIET NHAT(ベトニャット)の「ちょこっと支援プラン」がサポートできること
進出前の情報収集、現地視察のアレンジ、事業計画のブラッシュアップ、信頼できる専門家の紹介など、進出の第一歩を全力でサポートします。
進出直後フェーズ(設立〜1年目)
□ 経理・人事の基盤作り
会計ソフトの導入、人事ソフトの購入検討
経理・人事スタッフの採用
社内ルールの策定(発注ルール、経費精算、支払ルールなど)
人事関連の社内ルール策定(有給取得、欠勤ルール、残業ルール等)
資金繰り表の作成
案件管理番号の策定とルール化
在庫管理ルールづくり
┗(経理数値上の在庫数と実在庫が月末等で合う/合わせる仕組みの構築)
お金と人を管理するために必要なルールを整備する期間が、最初に必要です。従業員が少ないからこそ、ゼロから仕組みを立ち上げやすく、ルールの変更も容易です。
特にモノづくり企業では、原価管理体制をこの初期段階でいかに確立させるかが、将来の成功のカギと言っても過言ではありません。もし本社でも原価管理が十分にできていないのであれば、むしろベトナムで新たに構築する最大のチャンスです。この貴重な時期を逃さないようにしましょう。
□ 内部統制の構築
職務分掌の明確化
承認プロセスの設計
定期的な内部監査の仕組み作り
誰が見ても分かりやすく、個人に属人化しない業務の仕組みづくりが基本です。
たとえ、特定の担当者しか対応できない業務が生じたとしても、重要な資料は必ずサーバーの特定フォルダに保存することまでを担当者の業務範囲として明確にすることが大切です。こうした「見える化」のルールを仕組みとして定着させることで、ブラックボックス化を防げるでしょう。
□ 人材採用と教育
製造スタッフの採用
OJTプログラムの実施
5S教育の徹底
5Sとは何なのか、なぜそれを実践した方が最終的に効率的なのか。それを現場でスタッフと一緒になって取り組む管理者の存在が必要です。
5S(あるいは3S)を本当に社内に浸透させたいのであれば、まずは現地管理者自身が率先して実践し、次に幹部・マネージャー陣を指導していくことで、ようやくスタッフ全体の意識改善に着手できます。
VIET NHAT(ベトニャット)の「資金管理の基礎づくりプラン」がサポートできること
資金繰り表の作成方法、経理・人事スタッフの教育、社内ルールの策定支援など、進出1年目の基盤作りを徹底サポートします。
進出1〜2年フェーズ(成長段階)
□ 資金管理の見える化
年次での予実管理
製品別の原価計算の基礎作りと運用の中での改善
見積書の見直し検証
1年目を通じて一連の業務を経験することで、経理として取り組むべきことと、その時期がおおよそ見えてくるはずです。その中で、改善案も浮上してくる時期かと思います。
製造業においては1製品あたり、もしくは1プロジェクトごとに原価管理をしっかり行い、見積との突き合わせができる状態に会社全体として持っていけることが、この時期の一つのポイントです。
□ 人材の定着率向上
昇給基準/評価基準の明確化
リーダー人材のキャリアパスづくり
やる気が出る社内の仕組みづくり
人事面では、原価管理をベースとした人件費管理がしっかり行えて、それを社内の仕組みとして回していける状態が求められます。また、より精緻な人件費管理のために、原価管理ソフトとの連携や人事ソフトの一層の活用が必要になってくる時期です。
人材確保の面では、従業員にとって魅力的な会社をどうつくるか、従業員のモチベーションを高めるにはどうすればよいか、といった仕組みや取り組みも検討が必要になってきます。
VIET NHAT(ベトニャット)の「お金の見える化プラン」がサポートできること
資金管理状態の診断、改善策の提案、KPI設計の支援など、成長段階の企業を黒字化へと導きます。
進出2〜3年フェーズ(最適化・拡大段階)
□ 税務調査への備え
経理書類の整理とファイリング
データ管理体制の構築
設立時からの経理スタッフの退職に備える
設立から2〜3年が経過すると、税務調査が入る時期を迎えます。同時に、設立当初から在籍している担当者の退職や、現地代表者の帰任時期とも重なりやすいタイミングです。
設立当初は求められなかった対応が、このタイミングで初めて必要になることもあります。税務調査での指摘を受け、会社全体として新たな取り組みが求められる場面も出てくるでしょう。
書類とデータがきちんと整理されていて、税務調査に対応できる準備が社内に整っているかを確認するには、この時期が最も適しています。設立時からの担当者がまだ在籍している、設立時の代表者が帰任しておらず署名が取得できるなど、対応に必要な条件が揃いやすいためです。
将来の税務リスクを軽減するためにも、これまでの運用と今後を見据えた見直しを行っておくことをお薦めします。
□ 事業の拡大または撤退の判断
事業の採算性の見直し
拡大投資の検討
部門、役職の新設
撤退シナリオの再評価
当初の事業計画で「3年で黒字化」という目標を立てていた場合、ちょうどその期限を迎える時期です。達成できていること、できていないことを整理し、今後の方向性をしっかりと見極める必要があります。
事業が順調であれば、規模拡大に向けた追加投資の検討に入ります。その際には、さらに2〜3年後を見据えた組織図の策定や、部門の新設・統廃合を検討する機会になるでしょう。
一方で、撤退を視野に入れる場合にも、早い段階での判断と準備が重要です。撤退にかかるコスト・期間は想像以上に大きく、判断が遅れるほど選択肢が狭まります。
VIET NHAT(ベトニャット)の「セカンドオピニオンプラン」「撤退準備プラン」がサポートできること
ベトナム事業の現状把握、税務調査対策、事業計画の見直し、撤退判断のアドバイスなど、経験豊富な専門家がセカンドオピニオンを提供します。撤退を検討される場合には、清算手続きに伴う資金管理の支援も行います。
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よくある質問(FAQ)

Q1. ベトナムでの海外生産は、どの程度の企業規模から検討できますか?
A. 明確な基準はありませんが、レンタル工場を活用すれば、従業員数10名前後の小規模な生産体制からスタートすることも可能です。ただし、企業規模にかかわらず、現地に管理者を配置し、経理・人事の基盤を早期に整備することが成功の前提条件になります。
Q2. ベトナムの人件費は本当に安いのでしょうか?
A. 最低賃金だけを見れば日本の約6分の1ですが、社会保険料(企業負担約22%)、テト賞与、年次昇給、日本人駐在員の人件費などを含めると、実質的な人件費は最低賃金の1.5〜2倍になることも珍しくありません。本記事の「経理視点:コスト構造」セクションで詳しく解説しています。
Q3. 進出してからどのくらいで黒字化が見込めますか?
A. 業種や事業規模によりますが、多くの日系製造業では3年を目標に事業計画を立てるケースが一般的です。ただし、楽観的な前提で計画を作成した場合、黒字化が大幅に遅れる、あるいは達成できずに撤退するケースも見られます。保守的なシナリオでの収支試算を、進出前の段階で必ず実施してください。
Q4. 日本人の駐在員を派遣せずに、現地スタッフだけで運営できますか?
A. 結論から言えば、特に進出初期の段階では難しいと言わざるを得ません。経理・人事・法務の管理や、内部統制の構築においては、現地の事情を理解しつつも日本本社の方針を体現できる管理者の存在が不可欠です。現地スタッフだけに任せた結果、不正や法令違反が長期間放置されたケースも実際にあります。
Q5. ベトナム進出で失敗しないために、最も重要なことは何ですか?
A. 一言でまとめるなら、「経理・人事の基盤を進出初期からしっかり作ること」です。多くの失敗事例に共通しているのは、製造や営業には注力するものの、お金と人の管理を後回しにしてしまうことです。本記事の「成功のカギ」セクションで、具体的な管理原則を解説していますので、ぜひご参照ください。
Q6. VIET NHAT(ベトニャット)に相談できるのはどの段階からですか?
A. 進出前の情報収集段階から、進出後の運営改善、税務調査対策、事業の立て直しさらには撤退判断まで、あらゆるフェーズでご相談いただけます。初回1時間の無料相談を行っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
※本記事の情報は、2026年4月時点の一般的な情報に基づいています。ベトナムの法令、税制、労働環境は頻繁に変更されるため、個別の事案については、必ず現地の専門家(会計士、弁護士、労務コンサルタント)にご相談ください。本記事の情報に基づいて行動した結果について、VIET NHAT(ベトニャット)および執筆者は一切の責任を負いかねます。
まとめ:ベトナム海外生産の成功は「経理・人事の基盤」から始まる

ベトナムでの海外生産には、確かに大きなメリットがあります。人件費の優位性、サプライチェーンの多様化、そして成長市場へのアクセスなど、製造業にとって魅力的な要素が揃っています。しかし、それらのメリットを享受するためには、デメリットとリスクを正しく理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。
特に、多くの企業が見落としがちなのが、「経理・人事の基盤作り」の重要性です。資金管理の見える化、内部統制の構築、業務の仕組みづくり――これらの地道な基盤を最初からしっかり築けたかどうかが、ベトナムビジネスの成功と失敗を分けるのです。
VIET NHAT(ベトニャット)は、ベトナムで10年以上、数多くの日系製造業の黒字化を支援してきた経験を持つ、経理・人事の専門家集団です。単なる代行業者ではなく、貴社が自律運営できる体制を共に築くパートナーとして、進出前の計画段階から、進出後の黒字化、そして必要に応じた撤退支援まで、一貫してお客様に寄り添うかたちでサポートします。
ベトナムでの海外生産を成功させたい、現在直面している課題を解決したい、とお考えの企業様は、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。黒字化の先にある、さらなるビジネスの可能性を一緒に追求しましょう。
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この記事はViet Nhat Company(ベトニャットカンパニー)が作成しました。
ベトナムビジネスの経営黒字化に向けた経理実務・人材育成の支援を行っています。



