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ベトナム人材採用の失敗を防ぐには?よくあるつまずきポイントと成功事例

  • 執筆者の写真: k.nuisach
    k.nuisach
  • 2月8日
  • 読了時間: 15分

更新日:2月10日


ベトナムでの人材採用の基本戦略|日本人管理者が知るべき違いと成功のポイントでは、ベトナムでの人材採用における基本的な考え方、日本とベトナムの労働文化の違い、そして適切な採用計画の重要性について解説しました。しかし、実際の採用プロセスでは、単に良い人材を確保するだけではなく、組織全体の成長を見据えた戦略的な判断が必要になります。


本記事では、採用時に企業が直面しやすいつまずきポイントとその対策、不適切な兼務のリスク、現地管理者の育成における課題など、より実践的な内容を掘り下げます。



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【目次】



1. 採用に関するつまずきポイントとアドバイス


1-1. 現地人材採用のタイミング

ベトナム進出後、現地人材の採用を検討し始めるタイミングは、レンタル工場の契約完了後や、工場建設が完了に近づいた時期、またはERC・IRCの取得時期が一般的です。多くの企業では、プロジェクト管理の進捗表の中で、これらのタイミングで最初の人材を採用するスケジュールを組んでいます。


1-2. 日本人採用担当者が考えがちなポイント

進出初期の採用において、日本人採用担当者がよく考えるのは以下のような点です。


  • 現地手続きをスムーズに進めるため、ベトナム人担当者に任せたい

  • 各種手続きを早く完了させたい

  • 本社またはプロジェクト担当者から業務を引き継ぎたい

  • 工場の立ち上げと同時に他の従業員の採用も進めたい

  • 事務所備品の購入や消耗品、工場工具の調達も依頼したい

  • 労働契約書の作成・管理なども含めて任せたい


このような要件を満たす人材を探す際、日本人管理者が日本語しか話せない場合、「日本語ができる人を優先的に採用しよう」と考えがちです。また、日系企業での勤務経験がある人材であれば安心だと判断しやすい傾向があります。


しかし、言語スキルや日系企業での勤務経験だけで採用を決めることにはリスクがあります。現地の実務に適したスキルや業務の適性を持つかどうかを慎重に判断することが、長期的な成功の鍵となります。


つまずきポイント 1:最初の人材の重要性

最初の人材を採用する際、多くの企業は「とにかく早く会社を立ち上げたい」「生産を開始したい」「現地の手続きや問題を素早く解決したい」という短期的な視点にとらわれがちです。そのため、複数の業務を兼務できる人材を急いで採用し、目の前の課題を解決することを優先するケースがよく見られます。


しかし、ベトナム現地法人の最初の人材は、その後の3~5年間の組織の方向性を左右する重要な存在となります。(※退職しない場合)適任者を慎重に選定しなければ、後々の組織運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。


採用を決定する際は、組織図を作成し、その人材にどのポジションを担当させるのか、将来的にどのような役割を担わせるのかを事前に明確にしておくことが重要です。最初の人材が重要な理由は以下の通りです。


1. 採用基準の形成に影響を与える

最初に採用した人材は、後に続く人材の選考にも関与することが多く、書類選考や一次面接を担当するケースもあります。そのため、会社の方針があったとしても、この人材の判断基準が、その後の採用方針に影響を及ぼす可能性があります。


例えば、最初に採用された人がマネージャー職の場合、その人が選ぶ人材は自然と自分より若い人になりやすくなります。また、給与面でも、自分より高い給与での募集があると不満を抱く可能性があるため、公平な基準での採用が難しくなることも考えられます。


2. 日本語が話せる人材の影響

多くの場合、最初に採用するのは日本語が話せる人材になることが多いです。結果として、その人は現地管理者や本社の担当者と密に連携を取る立場になりやすく、業務以外にもさまざまな場面でサポートを求められることがあります。


例えば、アパートの契約や日常生活のトラブル対応など、業務外の役割を果たすことが増え、管理者からの評価が高くなりがちです。


スピーディーに課題を解決することも重要ですが、最初の人材は組織全体の基盤を作る存在となるため、最低でも3年は影響を与えると考えるべきです。


そのため、短期的な解決策として急いで採用するのではなく、将来的なポジションや給与水準を見据えた計画的な採用を行うことが、組織の成長にとって重要になります。



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つまずきポイント 2:不適切な兼務

ベトナム進出直後は、業務量が少なく、限られた人員で運営する必要があるため、兼務を前提にした採用を考える企業が多く見られます。しかし、兼務は慎重に判断すべきポイントです。


例えば、日本語通訳者が経理・人事を兼務するケースや、社長秘書が輸出入や調達業務まで担当するケースがよくあります。小規模な組織で、業務量が増えないと確定している場合は問題ないかもしれません。しかし、会社の成長を見据えて進出する場合、こうした兼務は将来的に大きな課題を生む可能性があります。


初めは「業務量が増えたら徐々に役割を分ければいい」と考えるかもしれません。しかし、日本人管理者が業務の実態を正確に把握できない場合、担当者から「人を増やしてください」と言い出しにくい環境が生まれ、中途半端な業務体制が続いてしまうリスクがあります。


特に、会社設立時の組織づくりは、企業の長期的な成長を支える基盤となるため、この段階での人材配置には十分な配慮が必要です。


兼務が発生する背景と理由には、以下のようなものがあります。


1. 採用担当者の考え方

兼務が発生する主な要因として、採用担当者の以下のような考え方が挙げられます。


  • 会社の成長とともに業務を分担しようと考える

    初期段階では業務量が少ないため、まずは少人数で運営し、成長に応じて組織を整えるつもりでいる。


  • 会社規模の拡大を具体的にイメージできていない

    将来的にどの程度の人員や役割が必要になるかを把握できていないため、必要なポジションを明確にできていない。


  • 管理者や責任者の業務が明確になっていない

    役職ごとの業務範囲が整理されておらず、結果として多くの業務が兼務として割り振られる。


  • ベトナムにおける業務の実態を把握していない

    現地の商習慣や業務フローの違いを理解しておらず、日本と同じ感覚で業務を組み立ててしまう。


  • 初期段階で必要な部門と、後から追加できる部門の線引きができていない

    すべての業務を一度にカバーしようとするため、一人の担当者に過度な業務が集中する。


2. 兼務がうまくいかない背景とベトナムでの考え方の違い


ベトナムと日本では、仕事の進め方や業務の考え方が異なるため、兼務を前提とした採用は特に注意が必要です。


  • 日本人の業務範囲は広く、文書化されていないことが多い

    日本では、状況に応じて柔軟に業務を担当する文化があるが、ベトナムでは業務の範囲が明確でないと混乱が生じる。


  • 日本では総合職の考え方があるが、ベトナムは専門職志向

    ベトナムでは、一人が特定の業務に特化することが一般的であり、日本のように幅広い業務をこなす「総合職」の概念がない。


  • 日本では業務の引き継ぎが一般的だが、ベトナムではそうではない

    ベトナムでは、自分の業務を守る傾向が強く、他人に業務を引き継ぐことに抵抗を感じるケースが多い。


  • 自分が働いていない期間の問題は「自分の問題」ではないと考える

    例えば、前任者が作成したデータのミスが発覚した場合でも、「自分が担当した業務ではない」として責任を負おうとしないケースがある。自身の責任の範囲外と考え、特段の指示が無い限り、対応しない傾向にある。


このような違いを理解せずに、単純に日本のやり方を適用すると、兼務による業務の混乱や責任の所在が不明確になるリスクが高まります。


想定される結果とアドバイス

① 部門の基盤が脆弱になる

例えば、経理と人事を兼務するケースでは、従業員数が増えた際に業務負荷が高まり、どちらの業務も十分に回らなくなる可能性があります。特に、人事部門は成長に伴い業務量が増加し、最終的には専任担当者を採用しなければ対応できない状況になります。


初期段階では業務量が少ないため兼務が可能に見えますが、事業が拡大するにつれて、日常業務に追われ、組織の基盤を整えるべきタイミングで必要な準備が遅れてしまうというリスクがあります。特に、就業規則の整備や給与体系の設計などは、初期の段階でしっかりと準備しておかないと、後々大きな問題を引き起こしかねません。


② ミスや問題の根本原因になる

十分な知識や経験を持たない日本語通訳者が人事部長を兼務するケースでは、採用や給与計算などの業務が適切に管理されず、結果として制度の不備や計算ミスが発生する可能性が高くなります。例えば、残業代の計算ミスや、社会保険料の誤算による未納・過納などが発生すると、従業員からの不満が高まり、場合によっては労働トラブルに発展する可能性もあります。


また、専門知識の不足によって、労働契約書の内容が不適切だったり、社内規定が整備されていなかったりすると、税務調査や監査時に指摘を受け、企業全体の信用を損なうリスクもあります。兼務を前提とした採用を行う場合でも、将来的に専任担当を配置する計画を立て、組織の成長に応じて適切な役割分担を行うことが重要です。


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兼務を推奨しない部署


① 経理 × 人事(1人で2つの部署業務を兼務するケース)

経理と人事の兼務は、業務バランスを大きく崩す可能性があり、基本的に推奨できません。特に、経理の知識や経験がない人事担当者を採用する場合、業務の正確性や効率に影響を及ぼすリスクが高くなります。設立初期に兼務を検討する場合は、経理の知識や経験を持つ人が人事を兼務する形の方が適しています。


兼務が必要な場合の注意点

やむを得ず経理と人事を兼務させる場合、以下のポイントを押さえておく必要があります。


  • 経理部門の重要業務(支払いルール、売上管理、原価計算など)と、人事部門の基盤業務(勤怠管理、給与計算、就業規則の整備)に漏れがないか、外部専門家に確認を依頼する。

  • 将来的に会社の規模が拡大することを見据え、どのタイミングで兼務を解消するか計画を立てておく。 例えば、「従業員数30名以上になったら経理と人事を分ける」などの目安を事前に設定しておくことが望ましい。

  • 会社設立後1年以内に従業員数が50名以上の規模に達する場合、経理と人事の担当者を別々に採用する方が適切。 専任担当者を配置することで、業務の責任を明確にし、各部門の成長を促すことができる。


初期のコスト削減のために兼務を選択するケースもありますが、中長期的な視点で見れば、組織の健全な成長を支えるためには、早い段階で役割を明確に分ける方がメリットが大きいと言えます。


② 秘書(日本語可)× 人事
③ 秘書(日本語可)× 経理

1. 経理・人事の専門担当者が秘書業務を兼務するケース

経理や人事の専門担当者に秘書業務まで任せると、細々とした秘書業務に時間を取られ、本来の専門業務に集中できなくなる恐れがあります。特に、現地管理者の秘書業務が含まれる場合、優先度の指示がない限り、秘書業務が先行してしまい、経理・人事業務の遅れやミスにつながるリスクが高まります。


2. 専門知識のない秘書が経理・人事を兼務するケース

秘書が経理や人事を兼務する場合、専門知識の不足により、問題が発生した際の正確な判断ができないことが大きなリスクとなります。例えば、労務トラブルや税務処理の問題が発生した際、通訳の誤りや知識不足によって、問題の原因がどこにあるのか特定できず、適切な対応が取れないことが考えられます。


また、日本では「秘書」という職種が一般的でないため、海外特有の業務としての細かさや役割をイメージしづらい点も注意が必要です。経理・人事と秘書の業務を明確に分け、それぞれの専門性を活かせる体制を整えることが望ましいでしょう。


つまずきポイント 3:日本本社の実習生・研修生を現地代表にする際の注意点


日本本社で実習生や研修生として経験を積んだベトナム人を、現地法人の代表者や責任者として任命するケースがあります。しかし、その際には業務範囲の明確化、期待する役割、本社の支援体制、教育プログラムの整備などを十分に検討する必要があります。


1. 管理者・経営者意識は簡単には育たない

日本人であっても、管理者や経営者としての意識を持つことは容易ではありません。一般社員であれば、自分の業務をこなすことが求められますが、管理者や責任者は会社全体の動きを把握し、経営視点で意思決定を行う必要があります。


ただ単に指示された業務をこなすだけでは、経営的な課題や将来の展望に対応することはできません。現地法人の売上向上や利益確保を目的とするならば、代表者自身が「他人事」ではなく「自分事」として業務に取り組めるマインドを持つことが重要です。そのためには、本社側でも経営者としての意識を育てるための仕組みや教育が不可欠です。


2. 現地管理者としての役割を明確にする

本社が現地管理者の業務を明確に把握していない場合、適切な支援ができません。そのため、専門家の助言を受けながら、現地管理者が取り組むべき業務を整理し、リストアップすることが有効です。


特に、実習生や研修生としての経験しかない人にとっては、いきなり「現地代表者」としての自覚を持つことは難しいため、以下のような支援が求められます。


  • マネジメントスキルのトレーニング(業務管理・従業員管理・意思決定の基礎)

  • 業務の見える化(チェックリストや業務マニュアルの整備)

  • 本社との定期的なコミュニケーションの仕組み(月次報告・評価制度)


3. 企業活動全体を管理する視点を持たせる

現地代表者が営業活動を行う場合、どのような方法で案件を獲得し、どのように契約を進めるのか明確にしておく必要があります。また、管理業務に関しても、以下の点をしっかりと整備することが重要です。


  • 人材管理(採用・教育・評価制度)

  • 設備・機材・道工具の管理(在庫・メンテナンス・発注フロー)

  • 資金管理(予算管理・経費精算・売掛・買掛管理)

  • 従業員教育(業務スキル・企業理念・労務管理のルール)


現地代表者の役割は多岐にわたるため、事前に役割と責任範囲を定め、それに応じた支援体制を整えておくことが、成功の鍵となります。



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2. ベトニャット支援の実績紹介


①製造業:経理・人事担当者の採用支援


背景

海外進出が初めての企業で、経理・人事担当者の採用基準が不明確だった。また、給与や手当の設定についても適切な基準が分からず、採用プロセスに不安を抱えていた。


依頼主

現地管理者


対応内容

  • 給与・手当の詳細設定に関する相談対応

  • 採用基準の明確化と募集要項の作成サポート

  • 面接への同席(候補者のレベルチェック・評価)

  • 就業規則に関するアドバイス

  • 社会保険登録の手続き支援


②サービス業:経理・人事担当者の採用支援

背景

当初、経理業務を外部委託していたが、運用上の問題が発生し、経理(および人事)を社内で対応する体制へ移行することになった。


依頼主

本社


対応内容

  • 採用プロセス全体の管理(募集計画の策定・進捗管理)

  • 募集要項の作成支援および適切な採用媒体の選定

  • 面接への同席(候補者のスキル評価)

  • 試用契約書・労働契約書に関するアドバイス

  • 採用進捗の管理と調整


ベトニャットでは、企業の実情に合わせた採用支援を行い、現地に適した経理・人事体制の構築をサポートしています。


まとめ:ベトナム進出における人材採用の重要性


日本人の仕事観とベトナムの違いを理解する

ベトナムでの人材採用において、日本の常識をそのまま適用することは難しく、組織の基盤となる「人」の選び方が非常に重要です。適切な人材を採用し、育成することで、企業の成長や安定した経営につながります。


<ベトニャットの支援範囲>

ベトニャットでは、企業のニーズに応じた採用支援を提供し、基本的なアドバイスから専門的なコンサルティングまで幅広く対応しています。


  • 事業計画の見直しを手伝ってくれる専門家がほしい

  • 第三者の意見を聞いて、採用の方向性を明確にしたい

  • 迷っているポイントを一緒に検討し、最適な解決策を見つけたい


ベトナム進出の初期段階だけでなく、進出後の運営支援まで対応可能だからこそ、経営改善や組織改革に関する実践的なアドバイスを提供できます。


ベトニャットに依頼するメリット

  • 専門的な視点で、適切な人材選定が可能

  • 経営視点でのアドバイスを受けられる

  • 限られた時間の中で、効率的に採用を進められる

  • 現地で相談できる相手がいない状況を解決できる


ベトナムでの人材採用や組織運営に不安がある場合、経験豊富な専門家のサポートを活用することで、リスクを最小限に抑えながらスムーズな経営を実現できます。


ベトナムでの成功には、現地の実情に即した人材採用と育成が欠かせません。ベトナムでの確実な事業運営のために、最適な人材戦略を構築していきましょう。



ベトナムビジネスの各フェーズに対応した最適なプランをご用意しています。

ベトナム進出や事業運営でお悩みの方へ

Viet Nhat(ベトニャット)では、以下の5つのサービスを通じて、お客様の課題解決をサポートします。


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