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ベトナム税務調査でリスクが高まる企業の特徴4選!事例と合わせて解説

  • 執筆者の写真: k.nuisach
    k.nuisach
  • 2024年11月10日
  • 読了時間: 9分

更新日:5月7日

前回の記事では、ベトナム税務調査の基本と心構え、企業に求められる対応策についてお話しをしました。企業がベトナムでの税務調査に適切に対応できる体制を整えていないと、経理や人事の管理が甘くなりがちです。


本記事では、税務調査に対してリスクが高まる企業の特徴や、実際に経験した問題事例を挙げ、対策の重要性を解説します。



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【目次】



税務調査に対してリスクが高まる企業の特徴4選


①経理・人事を専門外の人が担当している企業


業務量が少なく、売上規模も小さい企業では、総務や秘書が経理・人事を兼任しているケースが見られます。このような場合、通常は社内担当者と外部コンサルタント(契約内容が記帳代行と税金計算)のみで対応しています。


専門知識がないまま経理・人事を担当していると、重要な場面で正確な判断ができない可能性が高くなります。また、外部コンサルタントとのやり取りにおいて、社内の課題や問題点が適切に伝えられず、コンサルタントも正確な情報を得られないため、「お客様判断」として、半ば強引な処理が行われることがあります。


また、現地管理者や本社は、外部コンサルがサポートしていることで安心してしまい、内情まで把握できていないことも多々あります。外部コンサルとの契約内容をしっかり確認し、社内の経理・人事周りの法令順守や将来の税務調査対策までを意識したコンサルサービスが含まれていることや、正しい経理処理や税務調査に対応できる書類とデータ整理の部分の責任の所掌の範囲も見ておくことが重要です。


②現地の経理・人事の管理を誰も把握していない企業


現地管理者が経理・人事の業務を全く管理していない会社も注意が必要です。経理・人事の業務は「ヒト」「モノ」「カネ」という経営の重要要素の2つを占めているにも関わらず、管理者がそれを把握できていない状態が続くと、企業の内部統制が脆弱になります。たとえ現地管理者に経理や人事の経験・知識がなくても、押さえるべきポイントや確認すべき部分は存在します。


例えば、人事関連では、社内決定書などの人事書類を日本語とベトナム語で併記することで内容の確認がしやすくなり、給与計算表にも各項目に日本語を付けることで、管理者が情報を把握しやすくなります。


経理面では、不定期で小口現金の残高を確認し、スタッフ業務の状況を把握することが可能です。また、資金繰り表も月次で日本語とベトナム語を併記すれば、管理者は毎月の残高をしっかりと確認することができます。


ベトナムで現地管理者としての役割を担うことは、すべての流れを把握し管理する責任を負うという点で貴重な学びの機会でもあります。


③赤字が続いている企業

 

赤字続きの会社の場合は「赤字だから税務調査は来ないだろう」と考えがちですが、これは誤解です。実際、VAT(付加価値税)の還付や個人所得税に関連して調査が行われるケースがあります。さらに、法人税においても、赤字であることが免除される理由にはならず、調査対象となります。


特に赤字の根拠が曖昧な場合や、調査官の主張に反論できない場合には、否認されてしまうこともあります。「利益が出ていないのに調査するなんて」という主張が通らないのが現実です。


さらに、親会社と子会社間の取引が中心の場合、移転価格に関する調査が行われる可能性も高く、注意が必要です。企業が外資系である以上、赤字や黒字に関係なく、適切な準備を怠らず、税務対応をしっかり行っておくことが求められます。


税務調査対策を講じる必要が無いとしている企業


ベトナムに進出する企業の中には、日本本社とベトナム現地子会社の利益の合算でみているため、税務調査による追徴課税や罰金を現地経費として見込んでおり、特段の税務調査対策を講じていない企業もあります。しかし、こうした姿勢にはリスクが伴います。税務調査対策を「会社全体の共通目標」として設定することは、正しい会計処理や管理ルールの徹底につながりますが、その目標が欠けると、経理業務があいまいになりがちです。


対策がない場合、未回収の売掛金や誤送金が放置され、契約書やe-invoiceといった重要な経理書類も適切に管理されなくなります。こうした状況が続くと、経理機能が徐々に低下し、最悪の場合、社内不正や横領が発生しても見過ごされ、問題が深刻化する可能性があります。


税務調査の対策を念頭に置くことで、適切な経理処理を保ち、社内リスクを抑える重要な基盤となります。



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税務調査対応が難しいと感じた企業の実例と防止策


本章では、筆者が過去に支援した業務の中で、税務調査対応が難しいと感じた企業の実例を2つご紹介します。


外部委託のチーフアカウンタント任せにしていたケース


1つ目は、外部のチーフアカウンタントに経理業務を任せきりにして、本社も現地も数年間放置していたケースです。月次決算書は3ヶ月遅れで提出され、年次決算に関してもその数値の根拠が不明確な状態が続きました。今後のベトナム展開を判断するタイミングで蓋を開けてみると、税金計算から社会保険の計算などあらゆる問題が発覚しました。


このような問題が発生した主な原因は、外部のチーフアカウンタントが外資企業の経理業務に対応できる水準になかったことや、本社経理が管理できる仕組みが社内に整っていなかったこと、そして現地管理者にも経理の知識と経験が欠けていた点にありました。


必要な根拠資料も整備されておらず、当時は打つ手がなかったため、会社として過去のリスクを受け入れ、今後の改善に向けて経理体制を内製化する方針を決定しました。外部委託を終了し、経理および人事管理を社内で行うことにしました。今後の防止策として、社内担当者が処理する部分と、管理者がチェックすべきポイントの業務分けを行い、本社を絡めた経理業務づくりを行いました。


こうした防止策は進出1年目の終わりや、2年目の終わりといった節目の時期に行うことをお薦めします。また現地管理者に経理の知識と経験が乏しい場合は、本社を絡めた管理体制の構築や”現地管理者教育”といったことも考えておくことが重要です。


おおよそ経営者の方の危機意識は正しいので、少しでもまずさを感じた場合には早めに専門家を用いて状況を把握することで、早めの立て直しやリスク回避が行えます。


②経理業務や管理ルールが曖昧だったケース


別のケースでは、経理業務を外部コンサルに委託し、会計データはコンサルが入力、経理・人事資料の原本は社内経理総務担当者が保管するという体制を取っていました。経理総務担当者には外資系企業での税務調査対応の経験がなく、自分の基準で一般的な事務ファイルにデータを保管している状態でした。


その結果、会計データと重要な経理・人事資料の紐づけがなされておらず、数年間放置されていたため、税務調査を受けても資料がどこにあるのか、またそれが最終版かドラフトかも分からない状況でした。さらに、現地管理者がすでに帰任し、数名の経理総務担当者も退職していたため、現在のスタッフでは署名ができないなど、管理体制の問題が顕著に現れていました。


本社がベトナムから撤退を決定し、税務調査が入ると分かっていたため、過去4年分の会計データと経理・人事資料を突合し、調査に対応できる形で再ファイリングを行いました。

経理・人事資料の原本が単に社内に保管されているだけでは不十分です。会計データと資料をリンクさせた状態で保管し、必要時にすぐに提出できる体制が必要です。このような問題を防ぐためにも、社内ルールの整備や担当スタッフの業務範囲を明確にしておくことが重要となります。


ベトナムでの税務調査リスクに備えるには、管理体制構築が重要


ベトナムに進出する企業にとって、税務調査の対策をすることは、企業の信頼性向上とリスク管理体制を強化することにつながります。経理や人事を専門外の担当者に任せることや、管理体制が不十分なままでは、税務調査に対応できず、多額の追徴や罰金を招く恐れがあります。


税務調査対策を社内共通の目標とすることで、正しい会計処理や管理ルールが徹底され、内部統制が強化されます。外部委託を活用する際も責任範囲を明確にし、経理・人事の資料を適切に管理することで、税務調査に迅速に対応できる体制が整えられるでしょう。


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<次回>

ベトナム税務調査の流れと事前準備を徹底解説!立会調査後の対応や経理スタッフの人事評価も Vol.3

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