ベトナム税務調査は早めに経験した方が吉?ベトナム税務調査の基本と心構えを徹底解説
- k.nuisach
- 2024年11月10日
- 読了時間: 9分
更新日:10月9日

難易度:★★★★★
ベトナムで事業を展開する企業にとって、税務調査は避けて通れない重要なプロセスです。税務調査の主な目的は、企業が適正に税務申告を行い、法に従った会計処理をしているかを確認することですが、多くの場合、税務署は財務的な指摘をし、追徴課税や罰金を企業に要求するため、適切な準備や対策を講じることが非常に重要です。
本記事では、税務調査に備えるための基本的な知識や対策を解説します。
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【目次】
ベトナムの税務調査の概要

ベトナム税務調査の目的とは
ベトナムにおける税務調査は、企業の財務状況を確認し、追徴課税や罰金を課す目的で実施されることが多いのが実情です。調査の際には、指摘された事項に対して、会社側がしっかりと根拠を示しながら対応し、交渉を通じて追徴や罰金の額を最小限に抑えることが求められます。
もし対策を何も講じず、調査官の指摘に反論することなく決定書をそのまま受け入れてしまうと、税務署が提示する高額な罰金や追徴課税を支払うことになりかねません。企業の事情や資金状況に関係なく、相当な金額を請求されることもあるため、万全な対策を事前に整えておくことが極めて重要です。
調査対象となる主な税目
ベトナムにおける税務調査は、主に以下の3つの税目を対象としています。①付加価値税(VAT)、②個人所得税(PIT)、③法人税(CIT)です。多くの企業が最初に経験するのは、付加価値税(VAT)の税務調査です。特に、会社設立時に工場の建設費用や設備、備品などの購入に伴い、VATの還付申請を行った場合、これが調査対象となるケースが一般的です。
ベトナム税務調査が行われるタイミング

税務調査が実施されるタイミングは、通常、企業がベトナムに進出してから3~5年後と言われています。この時期は、税務署が過去5年分の追徴課税を行うことが可能な期間に合わせて調査を行うことが多いため、企業にとって重要な節目となります。
さらに、この3~5年後のタイミングは、現地日本人管理者の帰任(任期が3~5年のため)や、経理スタッフの退職(3~4年目が多い)とも重なりがちです。管理者が帰国した場合、過去の署名漏れの書類に対応できず、新任者への引き継ぎも不十分になりがちです。また、経理担当者が退職した場合、過去の資料を把握している担当者がいない場合、過去数年分の取引について税務署に説明するために膨大な労力を要することになります。
このように、税務調査のタイミングは企業にとって非常に負担が大きく、事前に長期的な対策を講じ、引き継ぎや体制整備をしっかりと行っておくことが重要です。
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ベトナムの税務調査対策の重要性

なぜ税務署から言われるがままの金額を支払う企業が多いのか
多くの企業が税務調査において、調査官の指摘に従い高額な追徴や罰金を支払ってしまう背景には、現地の税務リスクに対する対策が不十分であることが挙げられます。現地特有の税務調査対応リスクに対して、現地管理者、本社ともに初めから正しい対策や対応を取れていなことが一つの要因ではないかと推測します。
特に、現地管理者が税務リスクについての理解が浅い場合や、本社が現地の状況を十分に把握できていない場合、経理担当者に過度な負担がかかり、サポートが不十分な状況に陥りがちです。
税務調査の対応が疎かになる原因
税務調査において追徴額や罰金が高額になると、本社の重役やコンサルタントが登場し、企業内部で責任の所在を追及し始めるケースが多く見られます。特に外資系企業は、ベトナムでの税務調査の複雑さを理解せず、リスク管理が後回しになることが多いのが現状です。
製造面の立ち上げに注力し、管理面や税務リスクの対策が不十分な状態での進出が問題となるケースが少なくありません。このように、リスク管理を疎かにしていると、不幸な結果に遭遇する可能性が高まります。
税務調査対策を講じた場合と講じなかった場合の影響の違い

経理担当者の税務調査対応経験や社内体制によって、対策をした場合としなかった場合の結果にはおおよそ6~7割もの差が出るとされています。これは、外資企業に対する税務調査が非常に厳格であるためです。
税務調査対策を講じた場合
対策を講じる企業では、日常業務の中で適切な経理書類を揃え、社内でルール化してファイリングや書類整理を徹底しています。また、調査官とやり取りをする際には必ず法令に基づいた対応が求められ、そのため日々の経理処理に法的根拠が反映されています。
法定準拠を意識した処理や書類管理を数年単位で徹底することで、税務調査時に対応力が6~7割程度も向上するのは当然といえます。
税務調査対策を講じなかった場合
一方で、法令に基づかない経理処理を続けてきた企業では、税務調査が行われた際に反論できる資料や根拠が全く不足しているため、多額の追徴や罰金を避けるのは難しいでしょう。
税務調査対策に対する考え方

以上でご説明した通り、税務調査は事前の対策が不可欠となりますが、正しい認識と心構えを持つことも重要です。本章ではベトナムの税務調査に対する考え方について解説します。
「経理」に対する意識
本社や現地管理者は、経理を「データ入力や税金計算を担当する管理部門の一部門」と見がちです。しかし、ベトナムでの税務調査は、しっかりと追徴課税や罰金を課すことを目的として行われ、外資企業にとっては自社の利益を守る重要な戦略が求められる場です。日本の税務調査とは異なり、経営にも影響を与えるため、経理を他の部門と同じように捉えるのではなく、特別なポジションとして認識することが重要です。
経営管理を強化する一環として、経理担当者に「原価管理」や「案件別の原価分析」などの役割を広げることで、利益確保にも貢献できるでしょう。
「税務調査」に対する意識
税務調査が入らないことに安堵している現地管理者もいますが、実際には早い段階で税務調査が入る方が好ましいと言えます。初期の調査で指摘された点を改善することで、会社全体として必要な対策を把握し、取り組むべき事項を整えることができます。
現地管理者は、なんとなく税制セミナーや他企業の税務調査の体験話を聞いていても、やはりどこか他人事のような捉え方になってしまいがちですが、実際に調査が入ることで“対策の必要性の認識”に繋がります。税務調査の対策を「他人事」として捉えるのではなく、早期の実体験によって現地管理者や経理スタッフが対策の重要性を認識することが大切です。
経理スタッフにとっても同様です。日々の業務の中において税務調査対策を意識するためにも、なぜ対策が必要になるかを早めに理解・認識できた方が、会社全体の意識としてまとまりのある対策を取れます。
税務調査が遅れれば、遅延利息の増加や、担当者の交代に伴う業務引き継ぎのリスクも高まります。将来を見据えれば、早期のタイミングで税務調査を経験した方が、長期的に企業にとって有益と言えるでしょう。
現地管理者の対策意識

税務調査対応を経理担当者に任せきりにせず、日本人現地管理者も主体的に取り組むことが大切です。例えば、書類のファイリング状況を定期的に確認する工夫をすれば、現地管理者でも管理体制を把握しやすくなります。
具体的には、ファイルの背表紙には日本語とベトナム語または英語を併記し、現地管理者も書類内容を確認できるようにします。労働契約書などの人事関連書類も、従業員番号ごとに契約書や付録が分かりやすくファイリングされ、管理者が必要な情報をすぐに取り出せる状態にすることが理想です。これにより、スタッフも「社長にファイリングを見られている」という意識が生まれ、適切な書類管理が徹底されます。
もし整理が不十分であれば、管理者が必要に応じて指示を出すことも大切な役割です。
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税務調査のリスクを最小限に抑えるためには、基礎をしっかりと整えることが不可欠です。適切な準備と管理体制の整備によって、税務調査によるリスクを最小限に抑え、ベトナムでの事業運営をより安定化させることができます。
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<次回>
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