こんにちは、Viet Nhatの山本です。Viet Nhatでは、ベトナム進出企業様の黒字化を目指して 「お金の管理」と「経理/人事の仕組みづくり」に関する実務支援をしています。
この記事では、製造関連企業の皆様がベトナム出張を計画する際に役立つ情報をお届けします。特に、次のような目的で出張する場面を想定しています。
国選びのための現地調査
展示会での協力企業や調達先の発掘
生産委託先や調達先の訪問
レンタル工場や工業団地の選定
出張期間は1泊2日から3泊4日といった短期間を念頭に置いています。
ベトナム出張準備でおさえておきたい重要ポイント5選
初めての海外出張が突然決まり、いつからどのような準備をしたらいいか、わからない方も多いと思います。本章では、ベトナム出張者が事前に準備したい重要ポイントを5つご紹介します。
①事前に可能な限り情報収集を始める
まずはベトナム進出にあたり、必要な情報収集から始めます。基本的には、自社内のツールや担当者の手でインターネット等で必要な情報収集と調査を進めることが多いかと思いますが、以下の支援を活用することで、サプライヤー視点にとらわれない現地情報を得ることができます。
これらのサービスは、企業様の努力をさらに効果的にサポートするものですが、主体的に取り組むことで、優れたサプライヤーや協力先、有益な情報を手に入れることができます。
ただし、すべてをこれらのサービスに頼ろうとすると、うまくいかないことも多いのも事実です。あくまでも企業様自身の努力を補助するものであるという点は念頭に置いておきましょう。
※いずれのサービスも無料、ただし利用条件や審査あり。
②ベトナム出張の目的を明確にする
次に、ベトナム出張の目的を明確にしましょう。出張の目的には、国の選定のための現地調査、展示会での協力先発掘、レンタル工場や工業用地の選定などが挙げられますが、これらの目的を最初から明確にしておくことが重要です。
出張の目的を明確にすることで、直前になってアポイントが取れていないことに慌てたり、スケジュールを詰め込みすぎて出張の目的を見失うといった事態を防ぎ、余裕を持った出張が実現しやすくなります。
目的が決まれば、その目的に合わせてベトナム訪問の時期を四半期、半期、年間などの期間で事前に設定することができるようになります。
例:
2024年5月: 国選定のための調査視察(日本と同じビジネスモデルがあるかどうかを検証)
2024年8月: 協力会社を探すための展示会視察(構想したビジネスモデルを実現するための協力先を探索)
2024年9月: 調達先調査、現地ニーズの把握、ビジネスモデルの検証準備
また、仕事の都合で出張日程が直前まで決められないこともあるかと思いますが、出張の目的を早めに設定することで、その日程から逆算して事前準備に十分な時間を確保でき、結果として質の高い出張が可能となります。
また、LCCのVietjetを利用する場合、出張日程が早めに決まれば、セール日時に合わせて早めに航空券を予約するなどして、コスト削減に繋げることもできます。
出張準備の流れをまとめると、以下の通りです。
<出張準備のプロセス>
出張目的の明確化
出張時期・日程の決定
社内事務作業
航空券の取得、宿泊先の予約
事前準備:アポイント取り、事前調査など
③現地での移動手段を考える(時刻表 / 公共交通機関のバス / タクシー・Grabタクシー)
ベトナムでは、日本のように時刻表通りに正確に運行している公共交通機関はほとんどありません。例外としては、サイゴン駅を発着する列車、定刻出発を目指している国際線の航空会社、ブンタオ行きの高速船などが挙げられますが、これらは非常に限られたものです。
日本人が慣れ親しんだ、時刻表通りに1分単位で運行する公共交通機関がないという点は、最初に理解しておくべき重要なポイントです。
市内での移動手段
結論として、市内の移動にはGrab(自動車配車アプリ)やタクシーが最適です。
ホーチミン市内には公共バスも運行していますが、始発と終点以外の各停留所には時刻表がなく、Bus Mapというアプリを使ってバスの位置をGPS情報で確認し、それに合わせて乗車するというスタイルです。降車時には降車ボタンを押すか、ベトナム語で降りることを伝える必要があり、ホーチミン初心者にとってはハードルが高い交通手段です。
しかし、1回の乗車賃は非常に安く、約30円~60円(5,000 VND ~ 10,000 VND)です[路線によって異なります]。とはいえ、日本からの出張者が利用するには難易度が高いため、ほとんど使えないと考えた方が良いでしょう。
郊外での移動手段
ホーチミン郊外の工業団地などを訪問する際には、効率を考えてレンタカーの利用をおすすめします。ベトナムのレンタカーは通常、運転手付きであり、自分で運転する必要はありません。ホーチミン市内ではGrabタクシーが多く走っていますが、郊外に行くと帰りのGrabタクシーが捕まりにくくなることがあり、貴重な出張時間を無駄にしてしまう可能性があります。そのため、郊外への移動にはレンタカーが便利です。
ベトナムには日系およびローカルのレンタカー会社があります。ベトナムが初めてで右も左もわからない場合は、まずは日系のレンタカー会社を利用してみると良いでしょう。その後、ベトナムに慣れてきたら、価格競争力のあるローカルのレンタカー会社を利用することも検討してみてください。
週刊Vetterなど、日系のビジネス情報誌にも多くのレンタカー会社が掲載されています。
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④現地での連絡先手段の準備
ベトナムでは、日本のLINEのようなメッセージツールとして「ZALO」というツールが広く使われています。どこでもZALOでやり取りが行われるため、事前にインストールしておくことをおすすめします。
特に展示会への参加や調達先の開拓において、現地担当者と連絡先を交換する際には、ZALOが必須となります。
詳細は以下のリンクをご参照ください。
またここからは、生産委託先や調達先の調査、工業団地/レンタル工場の選定を目的とされる企業様向けの+α部分です。
⑤英語もしくはベトナム語の会社説明資料を準備する
自社のことを全く知らない相手に対して説明することを前提に、非常に分かりやすい資料やホームページを事前に準備しておくことが必要です。同じ業界や業種であっても、国が違えばお互いに相手を知らないことが多いためです。
日本国内であれば、「あの業界のあの会社だな」と察しがつくこともあるかもしれませんが、ベトナムではそう簡単にはいきません。日本で同じような状況を想像してみてください。いきなり、知らない国の相手企業が自社を知っていることを前提に説明されても、その企業の業界でのポジションや得意な点について、すぐに理解するのは難しいのではないでしょうか。
資料が完成した後は、日本にいるベトナム人スタッフなどに説明してみて、内容がしっかり伝わっているか確認するのが良いでしょう。ただし、自社のベトナム人スタッフの場合だと、自社についてすでに理解しているため、代わりに現地の調達先や関係先のベトナム人に対しても説明が適切にできるか確認するのも良いかもしれません。
なお、日本で普段使用している日本語の資料をそのまま通訳を介して説明しても、意図がうまく伝わらないケースもありますので、その点にも注意が必要です。
ホームページにおいても同様に、予め英語もしくはベトナム語に翻訳したものを準備することで、展示会で会った協力先や訪問した取引先に自社をより理解してもらえるようになります。
以上、ベトナム出張前に準備したい5つのことをご紹介しました。
事前に可能な限り情報収集を始める
ベトナム出張の目的を明確にする
現地での移動手段を考える
現地での連絡先手段を準備する(ZALO)
英語もしくはベトナム語の会社説明資料を準備する
有意義なベトナム出張にするためには?出張を成功させるため3つのコツを解説
前章のベトナム出張準備5つに加え、本章ではさらに有意義な出張にするためのコツを解説します。
効率的に回るためには、現地でのスケジューリングの工夫
訪問順序の優先順位をつける
最も見たい場所や取引先は、到着日の翌日午前中に予定を入れるのが効果的です。理由として、移動日には、ベトナムが近いとはいえ、平均して約8時間ほどの移動が伴うため、疲労が蓄積します。そのため、移動直後に最も重要な場所を訪れると、見落としや聞き逃しが発生する可能性が高くなります。日本とベトナムの移動日は疲れが溜まっているので、優先度の低い事項を行うことをお勧めします。
例えば、日本を深夜発でホーチミンに朝到着する便を利用する場合、到着日の午前中は移動の疲れが抜けないため、午前中は休息をとり、午後からの活動を計画する方が良いでしょう。
移動距離が長い場合の対策
もし、2つの省をまたぐ移動時間が1.5時間を超える場合(例えば、Long An省とDong Nai省など)、優先順位をつけて、その地域をまとめて訪問するのが効率的です。移動時間が長いと、それだけで疲労が増すため、なるべくその地域を一度に訪問することをお勧めします。
また、スケジュールを決める際には、あらかじめ昼食場所や時間調整のためのカフェを決めておくことで、昼食先に迷って時間を無駄にすることや、ドライバーが道に迷うことを防ぐことができます。
訪問後に情報を整理する「まとめ時間」を確保する
一般的な出張スケジュールでは、日本の業務時間に合わせて8:00~17:00までぎっしり予定を入れることが多いかと思いますが、各場所の訪問後に、1~2時間ほど情報を整理する「まとめ時間」をスケジュールに組み込むことを検討してはいかがでしょうか。
1日の訪問や調査スケジュールを8:00~15:00または16:00くらいまでに設定し、ホテルや近くのカフェで気づきや考慮すべき事項をまとめる時間を確保することで、出張がより有意義なものにすることができます。
出張報告書を日本帰国後にまとめることも多いですが、「現地でまとめる」という点も重要なポイントです。日本で計画してきた出張目的も、実際に現地に来てみると、日本で想像していたことと異なるといったことがよくあります。現地でのギャップに気づいた際には、その場でしっかりとまとめ、ベトナムでの計画に反映させることがプロジェクトの成功に大きく寄与します。
現地出張は、通常の日本での業務とは異なるミッションを持って行われるものです。この貴重な時間を最大限に有効活用しましょう。
❷ホテル選びのコツ
ホーチミンのホテル事情
ホーチミンのホテルは、日本の「狭い / 窓なし / 料金が高い」といったビジネスホテルのイメージとは異なります。探し方次第では、広くて窓があり、リーズナブルな部屋を見つけることが可能です。日本の一般的なビジネスホテルレベルを求めるなら、3つ星か4つ星以上のホテルを選ぶと良いでしょう。
また、ホテルの部屋を選ぶ際には、事前にGoogleマップでオーナー以外の一般宿泊客が投稿した部屋の写真を確認しておくことをおすすめします。これにより、実際に宿泊した際に感じるギャップを減らすことができます。
ベトナム訪問の頻度に応じたおすすめの選択肢
初めての訪問の場合: 遅い時間でも多くの日本食レストランが営業しているレタントン周辺(日本食街)がおすすめです。空港へのアクセスも良く、郊外への移動にも便利です。
数回目の訪問の場合: 定宿を決めず、毎回違うホテルを試してみましょう。前回宿泊したホテルと比較し、シャワーの出が良い、朝食が美味しい、掃除が行き届いているなどの気づきが増え、ベトナムのホテル事情を理解する助けになります。3つ星や4つ星ホテルでも、サービスのレベルには大きな違いがあることがよくあります。
かなりの回数訪問している場合: 将来的に住む地域に泊まってみるのも良いでしょう。実際にそのエリアに滞在することで、スーパーの有無や主要道路へのアクセスなど、住む際に気づくべき点が見えてきます。ベトナム赴任後に住まいを決めると、住所変更が手間になるため、赴任前に気になるエリアに滞在しておくことをお勧めします。
部屋選びのポイント(窓と机)
部屋に窓があり、事務作業ができる机があると便利です。机があれば、報告書やその日のまとめ作業が、わざわざカフェを探さなくても部屋ででき、2泊以上の滞在なら窓があることで気分的にもリフレッシュできます。
日系のホテルや日本人ビジネスマン向けのホテルではバスタブが付いていることがありますが、一般的にはバスタブがない場合がほとんどです。バスタブがあってもお湯が出ないことがあるので、あまり期待しない方が良いでしょう。
ストレスフリーの滞在なら5つ星ホテルがおすすめ
5つ星ホテルに泊まる最大の理由は、「何もストレスがないこと」に尽きます。部屋の掃除が行き届いていない、毎日の朝食に飽きる、観光客で混雑して騒がしい、浴槽があるのにお湯が出ないなどの問題が一切なく、出張中の時間を最大限に活用できます。
さらに、5つ星ホテルのクラブラウンジ込みのプランを選ぶと、会議室の無料利用などの特典がついていることがあり、複数人での打ち合わせも可能です。クラブラウンジでストレスなく仕事ができる点も大きなポイントです。考え事をする場所が必要な場合、クラブラウンジは本当におすすめです。
❸移動の際の注意点
工業団地視察時は、工業団地マップを活用し、正確な場所を把握
ベトナムの工業団地を概観するには、Surfex Trading社が提供している媒体誌「Investment Asia」の工業団地紹介マップがおすすめです。Investestment Aisa 工業団地紹介マップ
Googleマップや各工業団地のホームページを利用しても、位置関係が分かりにくいことがよくありますが、このような情報誌のマップを活用することで、工業団地の場所や特徴が一目で把握できる上、入居している企業の位置も明確に示されているため、企業訪問時の場所確認にも最適です。
特に、Googleマップでは企業の場所ピンがずれていることがあり、実際に車で向かったら全く違う場所に到着してしまうこともあります。このようなミスを事前に防ぐためにも、マップを活用することをお勧めします。
距離感覚(日本人感覚 / 渋滞に注意)
日本人の距離感覚とホーチミンの現実
多くの日本人は、1km程度の距離であれば徒歩で移動を考えるかもしれませんが、ホーチミンでは11:00~15:00の時間帯が非常に暑く、徒歩での移動は現実的ではありません。そのため、このような場合はGrabタクシーや通常のタクシーを利用することをお勧めします。タクシーの初乗り料金は日本に比べて安価であり、Grabタクシーは時間帯によってさらに割安になることがあるので、短い距離でもタクシーやGrabを積極的に利用しましょう。
渋滞に注意
ホーチミンでは、特に通勤時間帯の7:00~9:00頃に特定の場所で激しい渋滞が発生します。(学生が休みの時は多少緩和されることがあります。)Googleマップでは10分と表示される距離でも、実際には20分以上かかることがあるので注意が必要です。
特に、ドンナイから帰ってくる高速道路を降りた地点では、毎日17:00~18:00過ぎにかけて渋滞が発生します。そのため、ドンナイ方面を訪問した日の夜に会食の予定がある場合は、少し遅めの時間に設定する方が良いでしょう。
私自身も、ホーチミン郊外のお客様を訪問する際には、予定よりかなり早く出発し、周辺のカフェで時間を調整することがよくあります。
ベトナム出張を入念に準備し、有意義な出張にしましょう
以上、ベトナム出張前に抑えたいポイントと、ベトナム出張を成功させるためのコツについて解説しました。初めての出張時には、現地の土地勘や移動手段の把握、ホテル選びの注意点などわからないことも多く、大変に思うこともあるかと思います。
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