top of page
  • 執筆者の写真k.nuisach

税務調査実態と対策-ベトナム

【税務調査期間】

 経理スタッフが調査レターを受取り、最終追徴の決定書が届くまで、約1か月ぐらいの対応になる。

 一番重要なのは、事前準備と調査官が工場に来ている間の対応期間。

 なるべく工場に来ている間に、調査官から指摘された問題点をクリアにする。続きは税務署で!にしない。

 ポイント:

 調査レターを受け取ったら、工場での調査開始日の先延ばし交渉を行うこと。調査官からの膨大な資料準備要求、社内資料の整理/確認の時間にあてる。


【対応体制】

 調査官2名で来られた場合、下記のような体制が理想


1. 主担当調査官対応:1人

 役割:とにかく主担当調査官の質問に応え、説明する

2. 副担当調査官対応:1人

 役割:副担当者の小さな要求に応えていく

3. 上記2人のサポート役:1人

 コピー、データの提出等を行う。上記のうちの1人でもこの役をやると調査が進まず、調査が進まないことで調査官が気分を害す原因になるため。


4. 調査進捗管理係

 各調査官からの宿題、全体の調査の流れを把握する係

 (主担当者対応者ができると良い)


【対応者へのフォロー】

 税務調査期間は、経理スタッフが対応に追われるので、日々の業務/日常業務の調整を行う。(業者への支払い日の変更、現金払いの日の変更等)


 理由:調査期間に経理スタッフが時間を取れるか否か(抗弁の準備できるかできないか)で、数十万~百万円レベルの追徴に影響することもあるので、調査官が来ている間(1週間程)は必ず経理スタッフの社内業務調整を入れること。



【事前準備】

 調査レターが経理スタッフに届き、合わせて無理難題に近い量の宿題が来ることろから始まる。期間中の~の取引を全てコピーして準備しておいてください等。

こんなに印刷して何の意味があるの?というところから入る。実際には確認しないことも多々ある。しかし、まずはこの無理難題を越えないといけない。

 ポイント:

 社内に根拠資料が無いと、抗弁/説明ができない。(=調査官の意見をのむしかない。)

支払い伝票のファイルが整理されてないと、資料準備に膨大な時間がかかる。

(会計データをチェック ⇒ 対象伝票を探し出し ⇒ コピー⇒準備物のモレをチェックリストで確認)

 取引の根拠資料は日々集めておくこと、支払い伝票のファイルをつくり、定期的に整理されているかどうかを確認することが重要。


↑調査官に要求された事前準備資料



↑支払い伝票を箱に入れてファイリングしておくと良い



【税務調査後で重要なこと】

 調査後に今後の対策を話し合うと良い。(経営者も参加すると良い。)

例-打ち合わせ内容:

 ・今回の調査で良かった点、反省点

 ・今回の税務調査で指摘された内容、特に追徴に繋がったもの、その原因

 ・今後、経理部が取り組む対策

 ・全部門(特定の部門)を対象として取り組む事項

 どの会社にも共通して言えることとして、2つのことがあると思う。

 ・自社経理スタッフレベルの引き上げ

(調査対応できる知識と経験と交渉力)

 ・社内での日々の事前準備

(いつ調査が来ても良いように、社内に根拠資料を残す仕組みをつくる/整理しておく)


【コーヒー代について】

 コーヒー代についてはまず、社内で払うのか払わないのかの選択肢を取る。払わないのであれば、徹底抗弁するしかない。徹底抗弁できるスタッフがいるかいないかもキーとなる。

 払うタイミングが重要。また調査対応の進捗管理を行っていないと、効果的なタイミングと回数を捉えることが難しくなる。追徴金額(ドラフト)を見てからの決定では遅いことがある。

 経理スタッフの対応していることもわからないし、全てコーヒー代で済ませたら良いではないかと思う会社もあるかもしれないが、これはあまりお勧めしない。理由は、そういう会社だと経理スタッフが認識し、支払い管理から何から何まで、会社は最終的にコーヒー代で全てを片付けてくれると間違った認識を持つようになり、経理スタッフが育たなくなってしまうから。



【追徴額の要素割合】

 過去、税務調査を受けた経験の感覚値から。

1. 社内に根拠資料/説明資料があるか否か    :35%

2. 対応者の能力(やる気、交渉力、理解度、知識) :35%

3. コーヒー代 :30%

(*会社がどうにかできる順)

【経理スタッフへの報償】

 経理スタッフが頑張ったお陰で追徴を大きく減らすことができたとしても、その功績を知る手段も無く、確証を得ることも難しい。またその貢献に対して社内評価制度をつくることも難しい。逆もしかり。


経理スタッフにとっては、追徴金額を減らす努力を行ったところで、残業代ぐらいしかもらえず、また例え追徴が大きくても、本人達の給与には影響しない。


この部分をどう扱うのかが、経営者にとって非常に難しく悩ましいところだと思う。


 頑張るのが当然と考え、可能な限りの事前準備/抗弁を行ってくれるような経理スタッフが社内にいたら大事にした方が良いことは言うまでもない。


【チーフアカウンタントを雇う際のポイント】

 チーフアカウンタントが監査報告書に署名することから、在職担当期間外の経理数値については責任を持たないという主張を受けることがあると思う。その主張は、もっともなのだが、会社としては責任は持たずとも可能な限りの準備/抗弁は行って欲しいところ。

 この部分を採用の際に伝え、また雇用契約書にその旨を記載することがおススメ。


閲覧数:145回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page